ゲーム分析は時間がかかります。
しかし、時間をかけた割には課題を選手とうまく共有できなかったり
そもそも効果があるかわからないからゲーム分析をやっていないという人も多いと思います。
もちろん目的にもよりますが、個人的にはゲーム分析を行うことは競技力向上に大きく貢献することだと考えています。
そこでこの記事では
どうしたら効果的なゲーム分析ができるか
について考えて整理してみました。
目次
そもそもなぜゲーム分析を行うのか
実践現場におけるゲーム分析の目的は
- フィードバック
- フィードフォワード
の2点に大別することができます。
基本的には
フィードバックは自チームの分析
フィードフォワードは相手チームの分析
が中心になります。
この記事ではタイトルの通り、フィードバックについて書いていきます。
コーチングサイクルの中で、フィードバックを行うことにより、指導者は練習メニューの作成や選手と考えを共有することができ、競技力向上に繋げることができます。
つまり、ゲーム分析を行う目的は
- 練習メニュー作成のヒントにすること
- 選手と考えを共有する(頭を揃える)こと
と言えます。
もちろん細かく目的を設定するともっとたくさんありますが、大きな捉え方としてはこの2点が重要だと思います。
自チームの分析【フィードバック】
まず、自チームの分析を行う目的を整理します。
自チームの分析を行う目的は
- 現状把握
- 課題の抽出
の2点です。
チームの目標に対して、どのような現状なのか、どのような課題を持っているのかを分析によって明らかにしていきます。
何を、何のために見るのか
サッカーは流動的で複雑性の高い競技です。
そのため、なんとなく試合を見ているだけでは的確な分析はできません。
ではどうすれば良いのか。
見るポイントを事前に整理しておく
これだけでも分析の精度や効果は高まると考えています。
ゲーム分析で見るポイントを整理するための重要事項
私は以下5点が分析時に考慮すべき事項だと思っています。
- 目標とゲームモデルを設定する
- 局面構造の捉え方を定める
- 背景を踏まえる
- 焦点を絞る
- 解決策とセットで考える
それぞれ解説していきます。
✓目標とゲームモデルを設定する
前述したように、自チームの分析の目的は現状把握と課題抽出です。
そのため、チームがどこに向かっているのかが明確でないと良い分析、フィードバックには繋がりません。
チームがどこに向かっているかの指標になるのは目標とゲームモデルだと考えられます。
目標は、チームとしての目標です。
例えば特定の大会で何位以内に入るとか、そういった結果を軸にしても良いと思いますし、
最後まで諦めないチーム、見ている人に感動を与えられるようなチーム、のように姿勢を軸にしても良いと思います。
両方設定するとより良いです。
結果を軸にした目標は、達成できたかどうかの評価が簡単であるという特徴があります。
姿勢を軸にした目標は、評価は難しいですが、ゲームモデルに繋げられます。
ゲームモデルは多くの人が本を出したり、各自定義づけて解説をしていますが、
ここでは「チームとしての戦い方の方向性」というラフな定義で話を進めます。
ゲームモデルについては以下の本が参考になります。
分析の話に戻りますが、チームとしてどのような戦い方をするかが決まっていないと
分析時の評価基準、指標が無いということになるので、効果的に分析を行うことは難しくなります。
ポゼッションを主体とするのか、カウンターを主体とするのかによってプレーの評価は変わってきます。
以上から、目標とゲームモデルを設定することは効果的な分析・フィードバックに繋がると考えられます。
✓局面構造の捉え方を定める
サッカーをどのような局面構造として捉えて分析を行うか、という問題です。
例えば
攻撃・攻撃から守備・守備・守備から攻撃
といったベーシックな4局面で捉えるのか、杉崎さんのように
自陣での攻撃・自陣での守備・相手陣での攻撃・相手陣での守備
のような局面構造として捉えるのかで、分析結果やフィードバック内容は変化します。
他にも、通常の4局面にゴール前局面を加えるという方法もあります。
このように、局面構造も様々な捉え方があるので、自分自身が最も腑に落ちるものを選択すると良いです。
✓背景を踏まえる
今は分析ツールも発展しており、後から見返すためのタグ付けも簡単にできるようになっています。
しかし、タグ付けは便利な反面、文脈を分断してしまうという側面も持ち合わせています。
例えば、同じようなシュートシーンであっても、その前にシュートを外しているかどうかや、得点差などの状況・背景によって意味合いが大きく変わる可能性があります。
このような視点を持ちながら分析を行えるかどうかも効果的なフィードバックを行うためにはとても重要です。
なぜそのような現象が起きたのかを深く考えるための観点の一つです。
✓焦点を絞る
分析を行っていると、色々なことが気になってきます。
しかし、あれもこれもと盛り込んでいるとフィードバック資料が膨大になってしまいます。
例えば映像を利用したミーティングでは、情報の受け手が集中力を保てる時間は10~15分が限界だと考えられています。
そのため、フィードバックすることをできる限り絞って伝えることが重要になります。
焦点の絞り方としては、やはり目標やゲームモデルを体系的に捉えて、今はどの段階をクリアしてほしいかを考えるという方法が良いです。
✓解決策とセットで考える
課題を提示するだけだと選手がどのようにプレーすれば良いかを共有することが難しくなります。
課題の解決方法は一つでは無いからです。
チームとしてどのようなプレーによって課題を解決すべきかを明示することが重要です。
もちろん、選手に考えてもらって最終的に合わせるという方法もあります。
どちらにしろ、指導者自身、課題に対して基準となる解決方法を持ち合わせていないといけません。
そのため、分析して課題を見つけたら、どのように解決すべきかを自分なりに見つけることが必要になります。
まとめ
以上、少しでもゲーム分析の労力が報われるように、効果的なフィードバックに繋げるための考え方を書いてみました。
まとめると、自チームの分析の目的は
- 現状把握
- 課題抽出
であり、これらを的確に行うためには
- 目標とゲームモデルを設定する
- 局面構造の捉え方を定める
- 背景を踏まえる
- 焦点を絞る
- 解決策とセットで考える
といった観点が重要だと思っています。
少し概要的になっている気がするので、今後それぞれに対してより具体的な例などについて書いていきたいと思います。