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記述的ゲームパフォーマンス分析における妥当性と信頼性について

man wearing gray polo shirt beside dry-erase board

記述的ゲームパフォーマンス分析(以下「ゲームパフォーマンス分析」)で測定項目を設定する時、求められることは妥当性と信頼性の2つです。

妥当性とは、その測定項目で本当に測ろうとしているものを測ることができるのか、という問いに応えるものです。

例えば、長さを測りたい時に定規を使用することは妥当に感じる人が多いはずです。

体重計使うと言い出したらそれは妥当じゃないと思いますよね。

それと同じで、ゲームパフォーマンス分析でも攻撃の有効性を測りたいのに守備の項目だけでは妥当じゃないと考えられます。

信頼性とは、誰が測定しても同様の結果がでるような項目になっているか、ということです。

長さを測る例で言うと、Aさんが測ったら12cmだったのに、Bさんが測ったら15cmだった、という定規は信頼できないですよね。

それと同様に測定項目に関しても、信頼性が求められ、多くの場合は複数人が測定した結果の一致率で担保されます。

研究だとかなり厳密に妥当性と信頼性の担保は求められますが、現場ではそこまでは求められません。

が、妥当性のない項目は意味がなく、信頼性のない項目を採用してしまうと効率が悪くなる可能性が高いです。

なので、妥当性と信頼性を担保しておくに越したことはないと思われます。

では、どのように妥当性と信頼性を担保するのか。

このことについて解説します。

妥当性と信頼性の担保について

妥当性の担保

✓専門家による項目の検討

ゲームパフォーマンス分析における測定行為目の妥当性の担保で良く行われるのは、複数の専門家による項目の検討です。

1人で考えると多角的に見ることができなくなるけど、複数人の専門家によって項目を考えることで妥当な項目が設定できるよね、という考え方です。

複数人は、3人以上であることが多いです。

また、専門家の定義では、研究をする場合は実践現場での指導経験を擁していて研究にも従事している、という感じで記述することが多いです。

現場で項目を検討する時は、そんなに深く考える必要はなく、(人数がいる場合は)同じチームの指導者で集まって検討することが良いでしょう。

✓目標・目的から逆算して設定する

先ほどの例であげたように、「長さ」を測るということが目的であれば手段が決まっていきます。

測定項目の設定も同様に、「なに」を測りたいのかを明確にすることで項目が決定していきます。

研究であれば研究目的を確認し、現場であれば、まずはチームとして何を測りたいのか、目標・目的を確認しましょう。

信頼性の担保

✓定義を明確にする

誰が測っても同じ結果がでるようにするためには、項目の「定義」を明確にする必要があります。

例えば、「攻撃回数」という項目を設定した時に、定義を明確にしないと、「ボールに触れたら攻撃」とする人もいれば、「チームとしてボールに2回以上触れたら攻撃」とする人もでてきます。

これでは同じ結果は期待できません。

例示したような攻撃回数においては、どちらの定義を使用しても大きな問題はありません。

定義に関しても、上述したような目標・目的に照らし合わせて決定することが重要です。

✓何人かで同じ試合を分析してみる

きちんと定義できているかを確認するためには、1試合でも良いので複数人で分析・測定してみることが最も手っ取り早いです。

研究では複数人で一定数の分析を行い、その一致率などを見ることで信頼性を担保します。

現場ではそこまで厳密に行う必要はないと思うので、シチュエーションによって少し結果にずれが出てきてしまう場合は都度修正すれば良いでしょう。

妥当性と信頼性を担保することで起きること

妥当性も信頼性も担保しようとすれば手間がかかります。

目標・目的と照らして担保の必要が無ければ、やらなくて全く問題ありません。

(研究においてはリジェクトされるので必ず必要になります。)

ただ、以下のメリットはあります。

  • 迷いがなくなる
  • 使いまわせる

✓迷いがなくなる

このシチュエーションの時はカウントするんだっけ?的な状況がなくなります。

これにより判断が容易になるのでその分スピードがあがります。

✓使いまわせる

自分のみでデータをとっている分にはなんとなくの定義で良いのですが、それだと他の人にデータをとってもらうという時に再現性が低くなります。

きちんと項目を設定しておくことで、測定すべき試合を分担することができたり、任せることができたりするので効率がぐっと上がります。

おわりに

現場ではデータや測定項目を公表することは多くないので、そこまで厳密に妥当性と信頼性を担保する必要はないと思います。

が、効率や効果を考えると詰められるところまでは詰めておいて良いと考えられます。

以下の本では妥当性・信頼性についても詳細に記述してあるのでとてもおすすめです。

 

今回は以上になります。

測定項目を作成、改良する、という場合は参考にしてみてもらえると嬉しいです。

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