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【論文レビュー】子どもが様々なスポーツを行うメリット

boy playing soccer on grass field

子どもがスポーツを行う場合、早い段階で種目を限定するよりも、多くのスポーツに触れた方が良いということが言われています。

具体的に運動面ではどのような効果があるのかを検証した論文のレビューです。

Physical fitness(体力)よりもMotor coordination(運動協調性)に影響する可能性があると結論づけられています。

論文内容

Popović, B., Gušić, M., Radanović, D., Andrašić, S., Madić, D. M., Mačak, D., ... & Trajković, N. (2020). Evaluation of Gross Motor Coordination and Physical Fitness in Children: Comparison between Soccer and Multisport Activities. International Journal of Environmental Research and Public Health17(16), 5902.

方法

対象

実験参加者:7歳の男女147名(男子:88名、女子:59名)

実験参加者は2グループに分かれている。1つはサッカーを専門的に行っているグループ(n=70、女子24)、もう一つは様々なスポーツを行っている(Multisports:マルチスポーツ)グループ(n=77、女子37)。

どちらのグループも以下の要件を満たしている。

1.1年以上継続している

2.トレーニングは1回60分以上

3.週2回以上トレーニングを行っている

4.他のスポーツ活動は行っていない

5.1年間で80%以上トレーニングに参加している

サッカーグループは週3~4回、60~90分のトレーニングを行った。

マルチスポーツグループは週2回、60分屋内でのトレーニングを行った。内1回は水泳、1回は安定性(体幹の強さ)・自発運動(ランニング・ホッピング・スキップ)・操作(ボールスキル)の3つのカテゴリーのいずれかからトレーニングが選択された。

測定方法

運動協調性テスト:Kiphard–Schilling body coordination test(後ろ向き平均台歩き等4種類)

体力テスト:握力・4×10mシャトルラン・立ち幅跳び・20mシャトルラン

結果

マルチスポーツグループはサッカーグループと比較して、運動協調性テストの全ての種目で良い結果を出した。

体力テストでは両グループに有意な差は認められなかった。

考察

これまでの先行研究と同様に、マルチスポーツグループは運動協調性テストで良い結果を残していた。

サッカーを専門的に行っていると、出現する運動パターンが限定されるため運動協調性テストで、マルチスポーツグループよりも劣った可能性がある。

体力テストでは有意な差が見られなかったため、運動協調性も養うことのできるマルチスポーツプログラムは7歳前後の子供に勧められる。

研究の限界

トレーニング以外の時間の運動(遊び等)が影響している可能性がある。

また、サンプルサイズが小さいことも考慮されるべきである。

まとめ

この論文では、スポーツを限定しすぎてしまうと、限定された運動パターンしか出現しないため、そのことが運動協調性(コーディネーション能力)を伸ばしにくくしてしまう可能性に言及していました。

そのため、様々なスポーツを行うメリットは、様々な運動パターンを経験できることだと考えられます。

様々な運動パターンを経験しておくと、専門種目の技能獲得を容易にする可能性もあると思っているので、子どもには色々なスポーツに触れさせた方が良いかもしれません。

ただこの論文でも触れられているのですが、マルチスポーツプログラムの中に運動協調性テストの種目に近い動きを行うことがあったようです。

そのため、単純に動きの慣れの問題によってテストの結果が良くなったとも考えられるため、そのことにも留意しておきたいところです。

おすすめの本

論旨はズレてしまうのですが、子どもの育成繋がりで、脳科学的に子どもの成長を考察した本を紹介します。

エッセイ調なので読みやすく、子どもの成長に関する理解が深まり、少し穏やかになれた気がします。

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