実践現場 研究 研究発表

研究発表の基本的な考え方について【スライド作成の基本】

turned on LED projector on table

研究発表は、大きく分けて2種類あります。

  • ポスター発表
  • 口頭発表

です。

ポスター発表は、A0サイズ等の大きめのポスターに研究成果を記述して発表する形式です。

口頭発表は、パワーポイントやKeynoteなどのツールを利用して発表する形式です。

今回は、口頭発表をする時のスライドはどう作ればいいの?という人向けに

研究発表時のスライド・資料作成の基本的な考え方を書きました。

研究発表の重要性

なぜ発表するのか

研究発表はどういった目的で行われるのかというと、主には

  • 研究の発展のため
  • 審査のため

に分けられると思います。

✓研究の発展のため

学会やゼミ等での研究発表が該当します。

メリットは様々な人からフィードバックが受けられるということです。

データをとってまとめて、論文として投稿する前に発表をするパターンでは、

多角的な視点から助言をもらうことができ、投稿時の参考になります。

質の高い研究を行うためには、このようなフィードバックは非常に重要です。

✓審査のため

大学院の入試、修士号や博士号をとるための審査の際の研究発表が該当します。

大学院の入試では、主に研究計画を発表することが多いと思います。

修士号や博士号の取得に関わる審査方式は大学院や専攻によって異なります。

例えば私の場合は

修士:中間発表・修士論文審査会の計2回

博士:セミナー(1・2・3)・研究報告会・予備審査会・本審査会の計6回

以上を行いました。(博士課程では学会での発表も必須でした。)

これらの目的で研究発表は行われますが、重要なことは

研究の輪郭を明確にできる

という点にあると考えています。

発表を準備することで自分の中でも研究の整理が進みますし、

フィードバックによって自分で気づかなかった曖昧な部分が浮かび上がります。

スライド作成の基本

口頭発表ではスライドを用いて説明を行います。

スライド作成時に私が気をつけているポイントは

  • いきなりスライドを作り出さない
  • 全体像(構成・流れ)を見せる
  • 現在地がわかるようにする
  • 文字の量を少なくする
  • 文字のサイズを大きめにする
  • 正確に記述する
  • デザインはシンプルにする

といったところです。

いきなりスライドを作り出さない

私はパワーポイントを使ってスライドを作成するのですが、

いきなりパワーポイントを開いて1枚目から作成するというのは上級者向けかなと思っています。

じゃあどうするかというと、

紙などで全体の構想を書く

という作業を始めに行います。

もう少し具体的に言うと、線を引いて6~8分割し、各スライドの概要を簡単に書いて完成をイメージするという作業です。

要するにアウトラインを考える作業ですが、これをやっておくと最終的に完成が早くなると感じています。

頭の中でアウトラインをパッと作れる人は、1枚目からどんどん作成して問題ありません。

全体像(構成・流れ)を見せる

発表がどういったもので、どういう流れで進んでいくのかを提示します。

発表の全体像がわからないと、聞き手が迷子になりやすく、伝わりにくくなってしまいます。

研究発表の基本的な流れは以下のようなもので、論文の構成と大きく変わりません。

  • タイトル
  • 目次
  • 研究の背景(緒言)
  • 方法
  • 結果
  • 考察
  • 結論

状況によっては結果と考察を一緒にしたり、伝わりやすく工夫することはあります。

全体像の提示において一番簡単な方法は目次です。

図を使って全体像を説明する人もいますが、上手くやらないと逆にわかりにくくなることもあるので、自信がない人は目次を作成すると良いでしょう。

現在地がわかるようにする

全体像が提示できたら、次は現在地の提示です。

スライドに、今は何について説明しているのか、を書いていきます。

例えば、研究背景・方法・結果・考察・結論などです。

博士論文などでは、研究1・研究2など全体を構成する研究が複数含まれることもあるので、

今どこにいるかを常に明示しておくとわかりやすくなります。

文字の量を少なくする

文字の量に関しては好みや考え方が大きく違うことがあります。

あまり説明は聞かないから文字をしっかりスライドに書いて読んでもらった方が良い

という人もいれば

文字は読まないから図で見せた方が良い

という人もいます。

私は今は、文字数は少ない方が良いと考えています。

最終的に研究のイメージを共有することが重要だと思うので、動画や図を用いることが手っ取り早いのでは、という感じです。

特に動画は情報量が多いのにも関わらず、見やすいというツールなのでおすすめです。

どうしても説明を入れたいが、スライドに入れると見にくくなる、という場合は

スライドでは口頭で説明を行い、配布資料に書いておくということもできます。

文字のサイズを大きくする

文字の量に関連しますが、フォントサイズも大切です。

大体の目安ですが、基準は24ポイントで会場が大きい場合は36ポイントだと見やすいと思います。

パソコンで見る分には文字は小さくても大丈夫なのですが、プロジェクターで映すとかなり小さく感じるので、見る人にストレスを与えないサイズにすることが重要です。

正確に記述する

文字数を少なくしようとすると何かを削る作業が必要になります。

削る作業の時に重要になってくるのは、きちんと伝わる範囲内で削るということです。

私が経験した失敗として、データ収集方法について説明を削りすぎてしまい、どのようにデータをとったのかという質疑応答に時間がかかってしまったということがありました。

これによって肝心の研究内容についてのフィードバックがあまり受けられませんでした。

研究の肝にフォーカスしてもらうためには、その他の部分で隙を見せないことが大事になる、ということです。

文字の量を少なくしつつも、しっかり伝わるように正確に記述することを心がけましょう。

デザインはシンプルにする

デザインに関しては、

見やすい

この1点のみ意識すべきだと思います。

  • フォントは冒険しないで統一する
  • 配色は3色(Base : Main : Accent = 70 : 25 : 5)が基本

これらが基本中の基本になります。

スライドのデザインについてもっと詳しく知りたいという人は、以下のサイトがおすすめです。

あとは、わかりやすい研究発表をする人の真似をすることも良いと思います。

(当然ですが、まるパクリをするのではなく構成やポイントを絞って真似をします。)

発表のためにできる準備

スライドが完成して、いざ発表という前に

発表を聞いてもらう

という作業をしておくことがおすすめです。

研究仲間や友人で問題ないです。とにかく聞いてもらいましょう。

内容に対するフィードバックはもちろんですが、

大体の発表時間がわかる

ということが大きなメリットだと思います。

一人での練習だと早口になりがちなので、人に伝えるスピードでどのくらいの時間がかかるのかを把握しておくと良いです。

もう一つメリットになるのは「質疑の練習にもなる」という点です。

特に研究仲間だとフランクに聞いてくれるので、どこが気になるのか、思ったところにフォーカスしてくれているか、などがわかりやすいです。

細かいテクニック

個人的に行っているのは

質疑に使えそうなスライドは後ろに置いておく

ということです。

スライドは作成したけど構成や時間の都合で削ったというスライドも、もしかしたら質疑応答で活躍の機会があるかもしれません。

なので、消去せずに後ろにまわしておきます。

特に細かい部分は口頭で説明するよりもスライドがある方がわかりやすいので、おすすめです。

準備・発表時の注意点

準備では以下の点に注意しています。

✓資料の印刷は意外と時間がかかる

資料を印刷してまとめる作業は思ったよりも時間がかかります。

余裕をもってやっておいた方が良いです。

✓動作確認

機器の接続や動画の流れ方などを事前に確認できる場合は必ず行います。

パソコン上では見やすくても、プロジェクターで映すと文字が小さく見えたり、色が見にくかったりと問題が発覚することもあります。

本番と同じ環境で発表練習ができることが理想です。

発表時は以下のことに注意しています。

✓スライドを見すぎない

スライドに向かって喋ってしまうと、なんとなく伝わらない気がするので

できる限り聞く人に向かって喋ります。

スライドを先に進めるのにキーボードを使う必要があると、環境によっては不格好になってしまうこともあるので、プレゼン用のポインターを使用することもおすすめです。

 

私はこのCanonのポインターを使用しています。あると便利です。

✓全力でディフェンスする

批判に対しての応答をディフェンスといいます。

質問をしていただいた方に対して感謝をしつつ、持てるすべての力をもってディフェンスします。

時に厳しい意見をもらうこともありますが、理路整然と反論できることが理想です。

そのためには事前にどのような質問・意見がでるかを想定しておくことが重要になります。

✓でも知ったかぶりをしない

研究で詰め切れていない部分があったり、想定していない角度からの批判に対してうまく説明・反論できないこともあるかもしれません。

そんな時に意地になって反論を試みたり、知ったかぶりをすることは得策ではありません。

最善を尽くしていて、それでもディフェンスできないのであれば、きちんとそのことを認めることが大事です。

修正が必要であれば発表後にきっちり修正すれば良いのです。

質問者の多くは発表者の人間性を批判しているのではなく、研究内容について批判してくれます。

ただし、事前に最善は尽くしておきましょう。

資料作成術に関する本

私が資料作成時に参考にしている本は以下のものです。

 

ビジネス用資料作成術といった感じですが、とても参考になります。

研究発表よりもビジネスでのプレゼンの方がシビアだと思うので、ビジネス基準で全く問題ないと思っています。

パワーポイントだけでなく、文書の作り方などについても書かれています。

 

スライド作成に特化したものもあるようです。

 

スライドのデザインの基本について学ぶことができます。

行間をどのくらいとると読みやすいか、図はどのように揃えるべきかなど、即実践可能なことが多く書かれています。

おわりに

自分の中でテンプレートが完成すると研究発表も少し楽になります。

そのためには、実践→修正を繰り返すのみです。

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