目次
研究計画を立てよう
研究計画とは何か
研究計画は、研究を行う時に使う地図のようなものです。
この地図が正確であれば、迷う心配が大きく減ります。
つまり、明確な道筋を描いてから研究を始めることで、不要な困難に立ち向かわなくてよくなるということです。
そのため、研究計画を立てる時の頑張りが、研究時の時間と労力を削減する助けになります。
後で少しでも楽をしたいのであれば、始めに頑張っておきましょう。
なぜ研究計画書を書くのか
研究計画書を書く理由はいくつかあります。
頭の整理
基本的に研究計画書を書くことはメリットしかないと思うのですが、一番重要なことは
自身の頭を整理すること
だと思います。
後述しますが、研究計画書には論文と同様に「型」があります。
この「型」に沿って文章を書いていくことで、自分の頭と研究が整理されていきます。
また、研究計画書は人に見せることが多いので、誰にでもわかりやすく書く必要があります。
わかりやすくするためには、論理的で正確な文章を書く必要があります。
このような過程を経ることで、自分の研究の輪郭がはっきりし、頭の中もすっきりします。
現在地の確認
研究を進めていくうちに、「次は何をすればいいんだっけ?」という状態になることがあります。
その時に、計画書を書いておくと研究計画全体を俯瞰しながら今何をすべきかが確認できます。
という人は書かなくても問題ないかもしれませんが、人間は忘れる生き物なので書いておいた方が無難です。
入試に必要
修士課程や博士課程に進学する際には、おそらくほとんどの場合で研究計画書の提出が求められます。
この場合は、研究計画書の質を審査されるはずです。
という人は、以下の研究計画書作成時のポイントをチェックしてみて下さい。
研究計画書作成時のポイント
研究計画書の質を左右するポイントはいくつかあります。
中でも重要なものをあげると
- 目的が明確である
- 問題と解決方法がマッチしている
- 文章が読みやすい
- スケジュールが明確
一つずつ簡単に解説します。
目的が明確である
当たり前だと思うかもしれませんが、「明確」というところが大事です。
「具体的」と言い換えてもいいかもしれません。
例えば
相手守備選手のマークを外すための有効なプレーを明らかにすること
よりも
マークを外すプレーの成否に影響を与える要因とマークを外す技能の因果構造の解明により、相手守備組織内侵入時における、マークを外すための有効なプレーを明らかにすること
の方が何をするかが明確になっています。
単に文字数の違いもありますが、目的を読むだけで研究の主旨を理解できるようなものが理想です。
基本的には目的の前に研究の背景を書くので、用語については事前に言及しておく必要はあります。
(上の例だと「マークを外すプレー」や「相手守備組織」)
問題と解決方法がマッチしている
論文とは
問題(課題)を指摘(発見)し、それを論理的に解決するもの
です。
そのため、発見した問題と解決する方法が嚙み合っていなければ論文になりえません。
計画書上では、「目的」を達成するために適切な「方法」が選択されているか、を確認しましょう。
自信がない場合は誰かに読んでもらうと良いと思います。
(この項に関してこちらに少し詳しく書いています→論文を書く際に抑えるべきポイント【卒論生・修論生向け】)
文章が読みやすい
どれだけ重要な課題を扱っていたとしても、そのことを正確に表現できなければ重要性に気づいてすらもらえません。
良い文章は、読む人に余計なストレスを与えずにすむというメリットもあります。
(研究計画を読む側は大体時間がない上に疲れているので、読みやすいというだけでも好印象になる可能性が高いです。)
読みやすい文章を書くためには
- 技術
- 構成力
これらが必要になると思います。
技術は、伝えたいことを誤差なく伝えるためのものです。
助詞の選択や修飾語・句読点の位置など、こだわるべきポイントは多いので、文章を書きながら常に「文意が正確に伝わるか」を意識しましょう。
文章技術に関する本はたくさんでていますが、私のおすすめの一つはこちらです↓
構成力は、一つ一つの項に関する構成を考える力です。
研究計画書や論文は、大きな枠組みとしての構成が決まっていることが多いので、全体の構成を考える必要はあまりないです。
しかし、一つの項(たとえば研究背景、方法、考察など)の構成=論理展開は熟考が求められます。
例えば序論では、研究の契機となった問題などを指摘する一般論といった概論から始め、徐々に研究の詳細に焦点を合わせるような展開が良いとされています。
「なぜこの研究をするのか」について納得・了解してもらえるような、説得力のある構成が必要です。
スケジュールが明確
「本当にその研究は完遂するのか?」
という疑問にも答えなければいけません。
そのためには
- 能力
- スケジュール
以上2点のアピールが大切です。
能力に関しては、今まで行った研究や研究環境などについて書きますが、研究費の確保以外では求められないと思うので今回は割愛します。
スケジュールは、できる限り具体的に書きます。
スケジュールがアバウトだと本気度が伝わりにくいので
と言い切りましょう。
自分を鼓舞する意味でも効果的です。(大体スケジュール通りにはいかないですが、、)
ただし、誰が見ても「それは無理だろう、、」というスケジュールを立てるのは厳禁です。
スケジュールに関しては、求められないパターン・計画書に書くパターン・面接時に答えるパターンがあります。
必要ないこともありますが、しっかり立てておいて損はないです。
研究計画を1枚にまとめる
入試や研究費確保のための計画書は、基本的にテンプレートがあります。
特に提出する必要がない、先生や研究仲間に見てもらうだけ、という場合はA4用紙1枚にまとめることがおすすめです。
- タイトル
- 背景
- 方法
- 予想される結果
これだけでもまとめると頭が整理され、議論がしやすくなります。
そしてA4用紙1枚なので読んでもらえる確率が上がります。
まとめ
研究計画書は、しっかり作成するとなると非常に大変な作業になります。
そのため、必要ない人は「別にいいかな。」となりやすいと思います。
しかしメリットも大きいので、簡易でもいいので作成することがおすすめです。
ちなみに、最もオープンな研究計画書は科研費の申請書です。
科研費.com(実際の学振・科研費申請書)などで見ることができます。
全文を公開してくれている方もいるので参考にしましょう。
おすすめの本
こちらの本では研究計画書の作成術が付録でついています。
非常に参考になります。