私は主にTwitterとブログを使って発信していますが
「研究者なんだから論文書いてた方がいいんじゃないの?」
と思う人もいるかもしれません。
完全にその通りではあるのですが、
論文以外でも発信媒体を持つことのメリットもたくさんあると思っています。
この記事では、発信する理由とそのメリットについて書きました。
目次
大前提として研究が中心
当然ですが、研究者の生活の中心は研究で、成果は基本的に論文としてまとめます。
ですので
研究活動・論文執筆を中心に、その他の発信を行う
ということが大前提です。
研究者が論文だけ書いている時に起こる問題
発信媒体が論文のみである場合に、以下の問題が起こると考えています。
- 論文読まれない問題
- スピード感出せない問題
それぞれ解説します。
論文読まれない問題
論文の主な読者は研究者です。
研究に従事していないけど論文を読むという方もたくさいいるとは思いますが、
書籍などと比べると読者が少ないのは間違いありません。
そのため、一般の方に研究結果が知られることは多くないでしょう。
多くの人に研究結果が知れ渡る必要性はあまり感じませんが、
必要としている人に届く可能性は高めたいところです。
また、論文は手に取ってもらうこと自体難しい上に、
構成が一般書籍と異なります。
基本的な構成は統一されているため、慣れれば読みやすいのですが、
読んでいて楽しい
という種の文章ではありません。(人にもよりますが。)
つまり、論文は
- 発見されにくい
- 読み慣れた文章構成ではない
という側面があるため、読んでもらうことが難しいのです。
スピード感出せない問題
発信はタイミングも重要です。
人が必要だと思った時に情報を届けることができれば助けになります。
しかし、機を逸してしまうと価値が下がってしまう類の情報もあります。
論文にはスピードやタイミングを重視した種類のものもありますが、それでもSNSには勝てません。
スピード、タイミングを重要視する場合は、SNSなどを活用することも有効だと考えています。
当然ですがソースとしての信頼性は差があるので目的によって使い分けることが大事で、選択肢として持っておくことは良いよねということです。
アイディアを出すためには日々負荷をかける必要がある
下の本で言及されているのですが、
アイディアが出た時に執筆作業する人 vs アイディアが出てなくても毎日決まった時間に執筆作業する人
では、決まった時間に作業をする人の方が多くの執筆量(文字数)を確保できたそうです。
このように、日々負荷をかけることによってアイディアや執筆量の確保に繋がる、ということは当然と言えば当然のようにも感じます。
ではどのように負荷をかけるべきか。
個人的には研究作業の時間をとる、に加えて
- Twitterで1日1回は発信する
- 週に1本はブログ記事をあげる
以上を目安に取り組んでいます。
自分を律するということは非常に難しい(少なくとも私は苦手としています)ので、研究作業の時間を決めるだけだと時に甘さが出てしまいます。(要するにサボり。)
しかし、1人でも見てくれる人がいるのであれば緊張感が生まれるため、なんとか質を担保しようと頑張れます。
もちろんTwitterにしてもブログにしても別の目的もあるのですが、
アイディアを出したり、思考するための強制力としても機能していると思っています。
存在の主張
私はここにいて、色々頑張ってますよ
という主張の重要性はどの分野でも高まっていると思います。
研究者にとってそのような主張をする公の場は学術誌や学会です。
しかし、例えばサッカーの指導現場にメッセージを届けたいのであれば、このような場に出るだけでは不十分だと考えています。
また、学術誌で論文が受理されるまでの時間や学会の頻度は自分でコントロールすることはできません。
オファーがあれば講演会や記事執筆などはとても良い機会となりますが、
まだまだそのような機会は少ないので、自分で主張の場を作ることも必要だと思いました。
分身の作成
ブロガーの方は自身のブログを「分身」と表現されます。
記事を書けば自分が寝たりしている時でも読んでもらうことができることを比喩したものです。
この「分身」という概念は、大学教員に応用すると有効なのではと思っています。
大学教員の主な仕事は授業で、同時に研究も行います。
どちらも高い質で行うためには膨大な勉強量が必要となり、それに伴って膨大な時間も必要となります。
さらに、ゼミの学生の人数によっては限られた時間で研究の基礎を教える難易度は高くなります。
これらのことから、研究の時間を担保しながら教育の質を高めるためにブログを利用できないかと考えました。
基礎的な部分は記事を読んで理解を進めてもらい、授業では細かい部分をサポートする、という形が理想です。
以下のページで進めています。
記事の質や量はもっと必要ですが、一つの方向性としては悪くないのではと思っています。
まとめ
研究者が論文以外に発信をするメリットをまとめると
- 論文と比較して読んでもらいやすい
- 発信のタイミングをコントロールできる
- アイディアを出すための強制力になる
- 存在を主張できる
- 分身ができる
以上のように考えています。
まだまだ理想とは遠いのですが、続けてみたら形になるかもという感覚はあるので、個人的にはおすすめです。