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【スポーツコーチング】「聴く」という選択肢を持つことの意味

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先日以下の本を読みました。

 

ここ最近読んだ本の中でダントツに面白かったです。

スポーツコーチングにとっても「聴く」ことはとても重要だと感じ、

今回はスポーツコーチングと「聴く」について考えたことを記事にしました。

選手とのコミュニケーションに悩みのある人は、一つの考え方として読んでもらえると嬉しいです。

「聴く」こととスポーツコーチングの関連性

上記の本をものすごい要約すると

人の話を「聴く」ことはメリットばかり

という感じなのですが、この「聴く」という漢字がポイントです。

「聞く」ではないのです。

人の話をなるほどねと聞いたり、アドバイスをすることではなく、

共感覚を持って話し手の心情に没入することが「聴く」ということ(と解釈しています。)。

これは非常に難しい技術で、経験もたくさん必要になってくるそうです。

この、話を「聴く」という行為が効力を発揮するのは日常生活のみならず

スポーツの実践現場でも同様に作用すると考えられます。

例えばコーチングを行う時は、基本的には現象に対して何かしらのアプローチをします。

この際ポイントになるのは、指導者は外側からしか現象を捉えることができないということです。

現象には2つの視点が存在します。

行為者(主に選手)から見た内的な視点と、観察者(主に指導者)から見た外的な視点です。

現象が起きた要因とその対策を明らかにするためには、この2つの視点から現象をとらえる必要があります。

つまり、指導者が内的な視点を持つためには、選手の視点を共有する必要があります。

そのために重要な手段の一つであると考えられることが、「聴く」ことです。

コーチングを行う時に、問いかけをすることの重要性は叫ばれていますが、どのようなマインドセットで問いかけ、その答えを捉えるべきかは、そこまで浸透していないように感じます。

そこで、この『LISTEN』で言及されている「聴く」ために何が必要であるか、という点を転用できるのではと思いました。

よく「聴く」とは、相手の頭と心の中で何が起きているのかをわかろうとすること。

と書いてあるように、自分の中での答えに固執してしまうと、わかろうとする態度ではなくなるでしょう。

そのため指導者は、教えたい、という気持ちを抑えたうえで、選手の頭の中をのぞけるようにしなくてはいけません。

私たちは、反射的に自分はわかっているという幻想を持つ傾向があります。そのために、耳を傾けたいという気持ちや好奇心が弱まってしまうのです。

という記述にあるように、「わかっている」と思ってしまうと「聴く」ことが難しくなり、視点の共有も困難になるでしょう。

指導側になると、教えなくては、と思ってしまうことも理解できるので、「わかっている」となってしまうことは回避しにくいことなのかもしれません。

それを理解した上で、まずは相手の話をしっかりと「聴く」ことが良いコーチングには不可欠になるでしょう。

「聴く」ために必要な行動とは何か

この「聴く」能力を手にするためには、努力が必要になります。

私は、「自分の中で答えを持たずに、相手がどう考えているのかを理解できるまで、こちらの考えを話さない」という行動が大事なのではないかと考えています。

原理原則から大きく外れている現象が起きた場合は、修正・改善のために大筋の答えを持っている必要はあります。

しかし、原理原則にのっとった上でも選択肢がいくつかある状況は存在します。

そのような状況でのプレーに対しては選手と会話をすることですり合わせ作業をする必要があると思いますが、その際に上記の行動を行うことが良いと思われます。

最初から自分はこうしてほしい、という答えに固執しすぎると、選手の話をさえぎってしまったり、選手との会話が成り立たない場合があります。

次に自分が何を話すかを考えながら話を聞くときちんと聴くことができない

ということも言われていることから、一つの選択肢として重要な姿勢だと考えられます。

選手と指導者という立場上、的確に素早く返答しなければならないと思う時もあるかもしれませんが、

良いコミュニケーション、会話という意味ではしっかりと話を聞いてから考えて返答する、でも全く遅くありません。

言葉を「ただ受け取る」という選択肢

また、アドバイスや共感をしようとしすぎることも、話を聞く上でベストな選択肢とは言えないそうです。

 

以下、上記リンクの本からの引用ですが

医者や医学生に対するアンケートで、

「わたしはもうだめなのではないでしょうか?」という患者の言葉に対して以下の選択肢が与えられました。

  1. 「そんなこと言わないで、もっと頑張りなさいよ」と励ます
  2. 「そんなこと心配しないでいいんですよ」と答える
  3. 「どうしてそんな気持ちになるの」と聞き返す
  4. 「これだけ痛みがあると、そんな気にもなるね」と同情を示す
  5. 「もうだめなんだ・・・とそんな気がするんですね」と返す

この時、精神科医の多くは5番を選んだそうです。

これは、何の解決にもなっていないように思えますが、「確かに言葉を受け取りました」という応答になっています。

私自身は、会話やコミュニケーションにおいて5番のような選択肢は考えたことも無かったと思います。

しかし、時にただ言葉を受け取るということも必要なのだと感じました。

最後に

もちろん、様々な状況が考えられるため、画一的に「聴く」ことが良いとは限りません。

ただ、「導く」というコーチングの本質から考えると、選手の考えを可能な限り同期して、

きちんと咀嚼した上でより良い方向に橋渡ししていく必要があります。

そのために、「聴く」という選択肢を持てるようにしておきたいところです。

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