ゲーム分析の質を高めるために重要な要素の一つとして
映像の質
が挙げられます。
ビデオカメラがメインの時代から、スマートフォンやタブレット端末による撮影が行われるようになり
昨今はAIカメラがアマチュアレベルにも少しずつ浸透してきているように感じます。
AIカメラを取り扱う会社は少しずつ増えていてありがたい限りですが、
いざ導入しようとなった時に選ぶことが難しくなったとも言えます。
そこでこの記事では
- AIカメラとは何か
- AIカメラが必要なチームとは
- 販売されているAIカメラの比較
について書きました。
AIカメラの導入を検討している方の参考になれば嬉しいです。
AIカメラとは何か
AIカメラとは、人工知能技術を活用して自動で撮影・解析を行う高度なカメラシステムです。
特にスポーツ分野での利用が進んでおり、サッカーの試合録画に特化した製品も見られます。
これらのカメラは、プレイヤーやボールの動きを継続的に追跡する能力を持っています。
AIは画像認識技術を用いて選手の位置、速度、ボールの位置を検出し、それに基づきカメラが自動的にズームインしたり、視野を移動させたりします。
メリット
AIカメラの大きな利点は、撮影が簡単であることです。
従来のビデオ撮影では、カメラマンが必要でしたが、
AIカメラは設置後にほぼ自動で全てのプロセスを行います。
今回紹介するAIカメラは2〜3つの映像を自動で繋ぎ合わせてサッカーコート全体をカバーしてくれるので
撮影者がボールを追いかける必要がなくなります。
これにより、撮影者の負担が減るだけでなく、撮影の質も担保されます。
ボールを目で追ってしまい、カメラでは追ってなかった、、なんてこともなくなります。
さらに、コート全体が撮影されていることにより、チーム全体の立ち位置などがわかります。
これにより、より精度の高い分析が可能になります。
また、撮影された映像は即座に解析されます。
商品によりますが、中には試合のハイライトや重要なプレーを自動的に抽出してくれるものもあります。
さらに、多くのAIカメラシステムはクラウドベースで動作し、撮影データをリアルタイムでクラウドにアップロードすることができます。
これにより、コーチや分析スタッフはどこからでもアクセス可能になり、試合直後の分析、共有が可能になります。
(ただし、アップロード時間は商品によって差があるので、選ぶ際のポイントにもなります。)
AIカメラの導入により、
- 分析の質向上
- 分析時のストレス減少
が期待されます。
AIカメラが必要なチームとは
AIカメラが特に必要とされるチームは
- ゲーム分析の精度を高めたいチーム
- 人的資源が限られているチーム
- 選手に映像を見てもらいたいチーム
が挙げられます。
ゲーム分析の精度を高めたい
上述したようにAIカメラは、コート全体をカバーしてプレイヤーの動きや位置、ボールの位置などを記録します。
これにより、コーチや分析担当者は、技術・戦術をより具体的に評価し、適切なフィードバックを行うことができます。
データ提供まで行うサービスを選べば、自身のチームのデータを把握することができます。
データ分析の基礎知識があれば、チームパフォーマンスの評価・向上に繋げることも可能です。
人的資源が限られている
様々な理由から、撮影に人を割くことができないチームもあると思います。
また、撮影をする人がいたとしても撮影のポイントを理解していなければ質の高い映像を撮影することは難しいでしょう。
しかし、AIカメラであれば、きちんと配置することができれば基本的にはスタンドを押さえておくだけで問題ありません。
環境やサービスによっては、一人も割く必要がありません。
さらに、撮影することによって得点・失点・シュートシーンなどが自動で抽出されるサービスを選べば、コーチはトレーニングや戦術のブラッシュアップにより多くの時間を割くことができ、選手はトレーニングやコンディショニングに時間を割くことができます。
選手に映像を見てもらいたい
映像の質が上がることによって何が良いかと考えた時、
シンプルに「見やすい」ということが大きなメリットではないかと考えています。
せっかく撮影をしても見にくさを感じてしまっては、選手も見返すことが億劫になってしまう可能性があります。
逆に言えば、見やすさを担保してあげれば試合を見返す割合は増えるかもしれません。
選手自身が自分のプレーを確認することは、自己評価やモチベーションの向上にも繋がりますし、
見返す習慣が定着すれば、個人の分析力向上に加えて、戦術理解度も高めやすくなると考えられます。
また、簡易なデータであってもサッカーを別の角度から考えるきっかけになります。
以上のことから、AIカメラの導入は育成年代においても非常に有用であると思います。
販売されているAIカメラの比較
ここからは、実際に販売されているAIカメラの紹介と比較します。
私が直接話を聞いた会社のものしか紹介していないので、他にもあるとは思いますが、今回は
- Veo
- Bepro
- NTT
- Hudl
のAIカメラを紹介、比較します。
Veo(Veo Technologies)
Veoは、Veo Technologiesが提供するAIカメラシステムで、主にサッカーをはじめとするスポーツイベントの撮影と分析に最適化されています。
180度の広角レンズを採用していて、プレイヤーやボールの自動追跡が可能になっています。
今はVeo Cam 3が最も新しい製品です。
主な機能には
- 自動追跡撮影
- クラウドベースでの映像編集と共有
- ゲーム分析の自動生成
が含まれます。
Veoの利用は専用のAIカメラ本体を通じて行われ、
専用の三脚または設置装置に設置することでフィールド全体がカバーされます。
基本的にはハーフラインの延長線上に設置、3m離したら3mの高さが必要になるとのこと。
これは他のカメラも同様なのですが、
映像はコート全体の映像とボール中心の映像(自動追尾)の2種類どちらも見ることができます。
撮影されたデータはクラウドサーバーにアップロードされ、保存・分析されます。
アップロードはWi-fiもしくはイーサネットケーブルの接続が必要になります。
料金
料金はカメラ料金+基本料金という構成になっています。
カメラはVeoのHPで購入すると999ユーロ、代理店のKAMOで購入すると181,280円です。(2024/5/3現在)
タイミングにもよるかもしれませんが、一円でも安く購入したい場合はVeoから直接購入した方が良さそうです。
その他にも三脚やカメラケース、持ち運び用のバッグなど一式購入するのであれば+4万円程度かかります。
次に基本料金についてです。
サーバー代のようなものと理解していますが、サブスクリプションに加入しないと映像を見ることもできません。
いくつか種類があり、以下のような料金体系になっています。
Starter | Team | Club | Enterprise | |
チーム数 | 1 | 1 | 5 | 20 |
ユーザー数 | 15 | 30 | 150 | 600 |
ストレージ期間 | 6ヶ月 | 12ヶ月 | 12ヶ月 | 12ヶ月 |
アナリティクス | 利用不可 | +30ユーロ/月 | +38ユーロ/月 | +67ユーロ/月 |
ライブ配信 | 利用不可 | +20ユーロ/月 | +30ユーロ/月 | +40ユーロ/月 |
料金 | 39ユーロ/月 | 67ユーロ/月 | 84ユーロ/月 | 165ユーロ/月 |
ユーロなので直感的にわかりにくいですが、参考までに2024年5月3日現在39ユーロ=6415円、165ユーロ=27142円です。
VeoはVeo Analyticsという分析ツールとVeo Liveというサービスに加入しないと分析ツールの使用およびライブ配信ができません。
Veoのアプリを入れることで映像が見れるのですが、動画のダウンロードはできるのでYouTubeやすでにクラウドを利用していればストレージはそこまで気にしなくて良さそうです。
良い点
他の会社と比べてになりますが、カメラの価格が安いです。
アナリティクスやライブ配信にこだわらなければコストを安く抑えられます。
本当に映像だけ必要、という場合には良いと思います。
課題と思われる点
アップロード時間が長いです。
私が説明を受けた時なので、今後改善されるとは思いますが、
ネット環境下にした時点から4〜5時間かかるそうです。
できる限り早く見たい、という層には少しネックになると思いました。
Bepro
Beproは、試合分析に特化したAIカメラシステムを提供する企業です。
サッカーなどのスポーツチーム向けに設計されており、高度な追跡技術と分析ツールを搭載しています。
機能としてはVeoと同様、自動追跡撮影、クラウドベースでの映像編集と共有、ゲーム分析の自動生成が可能です。
これはAIカメラを提供しているほとんどの企業が持ち合わせている機能と考えてよさそうです。
Beproはカメラが2種類あります。
固定式はグラウンドやスタジアムに常備することができ、遠隔操作で撮影のスタート・ストップを行うことができます。
移動式カメラは、撮影時に専用スタンドを利用する必要がありますが、ポータブルです。
料金
今回はポータブルの製品で他社とも比較するので、ポータブル製品のみの料金形態になります。
カメラ本体:600,000円
基本パッケージ:8,000円/月 or 80,000円/年
イベント分析:20,000円/試合
トラッキングデータ:80,000円/試合
上記は目安のようなので、状況により変化があるかもしれません。
良い点
基本パッケージに動画の編集ができるツールが含まれているので、他のツールを購入する必要がありません。
HPを見る限り、デザイン的にも良さそうなので使用し始めたら使用感を追記します。
また、トラッキングデータを販売してくれるのはBeproだけでした。
正直、一般的な需要はかなり低いとは思うのですが、研究で使用したいのでBepro一択となりました。
課題と思われる点
他の3社と比較すると、カメラ本体の料金が高いです。
初期投資が必要になるので、購入のハードルは少し高い気がします。
しかし、サブスクリプションの値段とその内容を考えると、投資する価値はあると思います。
NTT(Nippon Telegraph and Telephone Corporation)
NTTは、ご存知、日本の大手通信企業で、スポーツ分析の分野においてもAIカメラ技術を提供しています。
カメラ自体でできることは、他の3社と大きく変わらないのですが、
NTTは基本的に撮影と共有に特化しています。
オプションとしての分析ツールもあるようなのですが、あまり前面に出していない印象です。
料金
固定式と可搬式の2種類展開されていますが
こちらも可搬式のSTADIUMTUBE Airの紹介をします。
カメラ一括払いの場合(利用期間2年)
280,000円+月額16,800円
サブスクリプションプランの場合(利用期間3年)
月額24,500円
となっています。
ライセンス利用料、サーバー使用料、日本語サポート料などが月額利用料に含まれています。
良い点
NTTは今回紹介したカメラの中で唯一YouTube配信に対応しています。
また、分析よりも配信を推しているように感じました。
このことから、大会運営などに適しているのではないかと思います。
課題と思われる点
他社と違い、データやサッカーに特化したプレーの抽出などは弱そうです。
ハイライトは自動作成してくれますが、やはり配信を主な目的としている組織に向いていると思います。
Hudl(Hudl, Inc.)
Hudlは、サッカーの分析・映像共有システムとしては非常に有名な会社です。
私自身もここ数年はHudlを利用しています。
[st-mybox title=”参考” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″] [/st-mybox]HudlもFocus Flexというカメラをリリースしています。
一番の売りとしては、Hudlが提供している分析ツールとの互換性が高いことだと思います。
料金
カメラ使用料は年額300,000円程度のようです。
しかし、契約年数によって変化するようです。
良い点
上述したように、Hudlが提供している分析ツールとの互換性が高いことがあげられます。
Hudlのプラットフォームに自動でアップロードされるなど、今まで少し手間だったことが省かれます。
特にHudlユーザーは検討に値するでしょう。
課題と思われる点
他社は買い切りプランがありますが、私が調べたところでは買い切りプランはなさそうです。
これは一長一短だと思うので課題と捉えるかどうかは難しいのですが、
選択肢としては一つ少ないという意味で取り上げました。
まとめ
以上から考えるとどれが最も優れているということではなく、
どれを選ぶかは目的によると考えられます。
- コストを抑えたい→Veo
- 詳細なデータも必要→Bepro
- 配信をメインに考えている→NTT
- Hudl製品をすでに利用している→Hudl
かなと思いますが、状況によっては違う考え方ができるので
正直、一概には言えません。
最初の方に書きましたが、AIカメラの導入はメリットも大きいので
目的・状況など精査してから購入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、分析ツールに関しては下記記事にまとめてあります。
参考までにどうぞ。
コメント
たいへん分かりやすく、参考になります。
特に各製品・サービスの特色や方向性の違いは、導入検討に当たって重要な要素と感じました。
コメントありがとうございます!
AIカメラ市場は拡がると思うので引き続き追っていきます!