「方法(Methods)」の章は比較的地味な印象を受けるかもしれませんが
実は論文を書く上で非常に重要な章になります。
なぜなら、手段が適切であることをアピールできる唯一の章だからです。
手段が適切でないと収集されたデータも信頼性が担保できません。
信頼できないデータをどう分析しようと結果や結論も信頼されないのは当然のこととなります。
ということで今回は「方法」の書き方についてまとめました。
「方法」で網羅すべきは以下の点になります。
- 研究対象の説明
- 用語の定義の説明
- データ収集方法の説明
- 統計手法の説明
- 倫理的配慮の説明
- ビジュアルの使用
- 他の研究者が再現できるように詳細に
それでは解説していきます。
目次
「方法」で最低限押さえておいた方が良いこと
研究対象の説明
研究対象は何なのかを説明します。
人文社会学系の論文だと研究対象が無い場合もありますが、自然科学系の論文の場合はほとんどの場合で研究対象があるはずです。
例えばゲーム分析の論文の場合は、対象となる試合があります。
どのような試合を対象としたのかを詳細に説明していきます。
どの大会なのか、カテゴリーはどこなのか、何試合を分析したのか、どんな場面を分析したのかなどを書きます。
ヒトの場合は身長や体重、複数人の場合はその平均などを記述します。
なぜその対象を選定したのかについては、できる限り緒言で説明しておくべきと考えますが、
どうしても緒言に入れられないのであれば研究対象の項に入れても良いかもしれません。
用語の定義の説明
方法を書く上で、特殊な用語が出てくる場合は定義を書きます。
ゲーム分析の場合は後述の測定項目の定義を書くことが一般的です。
データ収集方法の説明
どのように対象からデータを抽出したのかを説明します。
分析項目の説明をすることもデータ収集方法の説明に該当します。
記述的ゲームパフォーマンス分析やアンケート調査など、研究手法について書く項でもあります。
どのような手順でデータを収集したのかを正確に書いていきます。
体力測定のデータを使用する場合は、体力測定の実施日や天候などを書くことも一般的です。
統計手法の説明
収集したデータに対してどのような統計手法を用いたのかを説明します。
例えば対応の無いt検定、χ2乗検定などです。
また、有意確率を書くことも一般的です。
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倫理的配慮の説明
倫理的な配慮をした場合はその説明を書きます。
研究によっては研究倫理の申請が必要なものもあります。
倫理的に問題ないよという太鼓判を押してもらい研究に取り組んだことを示します。
出し方やフォーマットは所属している研究機関に確認しましょう。
ビジュアルの使用
図や表を一切使用しない人もいますが、ビジュアルを使用した方がわかりやすいことが多いので、言葉だけではなく図や表で示しましょう。
作成にあたっては、図はPowerPoint、表はExcelを使用するのが一般的だと思われます。
図や表をちゃんと作っておくと、卒論発表会や修論発表会含む研究発表の際に使用することができたりするので見やすい図表を作成しましょう。
他の研究者が再現できるように詳細に
以上のことを再現性を担保するために行います。
他の人が研究を再現できるか?という視点で丁寧に書きます。
まとめ
「方法」の章で最低限書いておくべきことをもう一度提示すると、
- 研究対象の説明
- 用語の定義の説明
- データ収集方法の説明
- 統計手法の説明
- 倫理的配慮の説明
- ビジュアルの使用
- 他の研究者が再現できるように詳細に
となります。
分野や内容によって多少の増減はありますが、一般的な自然科学系の論文だとこのあたりは必須であることが多いです。
卒論・修論においても最低限押さえておきましょう。