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サッカーにおいて論理的に考えることがコミュニケーション能力の向上に繋がるか

最近、ロジカルシンキングについて講義を受けたり講義をしたりという機会がありました。

その中で、ロジカルシンキングとコミュニケーションがセットで話に上がることがよくあるなぁと感じました。

ロジカルに考えられないとコミュニケーションに問題が生まれるといった文脈もあったりして、

個人的には少し違和感がありました。

そこで今回はロジカルシンキングとコミュニケーション能力とサッカーについて考察してみます。

ロジカルシンキングのメリット・デメリット

メリット

論理的に考えると定義して差し支えないと思いますが、論理的に考えることにどんなメリットがあるのか。

  • 再現性が高くなる
  • 納得・了解を受けやすくなる

個人的にはこの2つのことが大きなメリットだと思っています。

✓再現性が高くなる

筋道が立っているので、時間があいて同じ事柄について考える場合でも同じような結論に至ることが多いでしょう。

行き当たりばったりにならなくて済むため、再現性が自然と高くなると考えられます。

✓納得・了解を受けやすくなる

他の人に対して説明をするなどの時に、相手の納得・了解を受けやすくなります。

自分の中でだけしか通っていない筋道の場合は、相手が納得しない場合が増えますが、きちんと整理された筋道を提示することによって納得して了解してもらえることが増えます。

デメリット

私が考えるロジカルシンキングのデメリットは以下の3つです。

  • 言い方によっては鼻についてしまう
  • 論破することが目的になる場合がある
  • 論理的に考えることが絶対になってしまう時がある

✓言い方によっては鼻についてしまう

例えば論理展開が完璧で非常に納得しやすい話であっても、話し方が悪いと嫌な感じに捉えられてしまう時があります。

いわゆる論破的なことをされるのはあまり気持ちのいいことではないですし、論破自体はエンターテイメントの一種となっていると思うので、話し方、言い方はマイルドに、かつ相手の意見もうまく尊重しつつということが重要になります。

これはコミュニケーションの目的とも関係あるので後ほど説明します。

✓論破することが目的になる場合がある

論理的に考えて、一方的に話をすると目的が相手を屈服させることにすり替わる時があります。

しかし、論理的思考を発揮すべき時は相手を屈服させる、いわゆる論破する時ではありません。

繰り返しになりますが、論破はもはやエンターテインメントの一種です。

適切なコミュニケーションを行いたい場合は、相手に嫌な気持ちを抱かせないことが非常に重要になります。

これは指導者として選手を指導する際にも気をつけなければいけないことだと考えています。

例え選手の考えが間違っていたと思えても、選手の考えを無視して、一方的に論理で殴ることはやってはいけないことです。

相手に気づかせる、立ち上がらせることが育てることだからです。

✓論理的に考えることが絶対になってしまう時がある

同じような理由で、論理的に考えることが正義、となってなってしまう可能性があるのも一つのデメリットです。

抽象的に考えて、言語化しない、できないという選択肢も常にあります。

目的と手段の問題なので、絶対的に論理的に考えなさいということもまた価値観の強要でしょう。

なぜ論理的思考が必要なのかをきちんと整理することも大事です。

この「なぜ」を考えることが指導者には本当に必要な事だと思っています。

いわゆる「手段の目的化」を防ぐためには「なぜ」について深く考えることが重要です。

非常に有名な本ですが、「なぜ」の重要性を学ぶためにおすすめの本です。

未読の方は是非。

コミュニケーションとは

コミュニケーションに関しては色々な定義があると思いますが

この記事では相手の行動を変えるために言葉や言葉以外を用いることとします。個人的な好みでもあります。

前述したこととも関係してきますが、相手の行動を変えたい時に、相手を屈服させるということは短期的な解決にしかなりません。

行動の変化が起き、さらにその行動が持続する、もしくは行動を批判的に考えられることがコミュニケーションの最終目的だとした時、必要なのは相手が心から納得して行動してくれることです。

その際に、論理的に説明をして、さらにそのことについて納得・了解をしてもらう。

このためには論理的思考が身についているだけではなく、相手や相手の意見の尊重という要素も必ず必要になるでしょう。

つまり、相手の意見も質問などにより掘り下げつつ、道筋を作り上げたり提示することがコミュニケーションの鍵となると考えられます。

また、相手の行動を変えることができれば良いので、別に論理的な説明や言語化が必要でない場合もあります。

この辺りはケーススタディ的に自身の経験を積み重ねていくことが重要です。

サッカーのパフォーマンスとの関係性

コミュニケーションはサッカーのパフォーマンス向上に不可欠であるという風潮があるように感じています。

コミュニケーション能力が低いことでサッカーのパフォーマンスが低いという論理展開までなされる場合もあります。

コミュニケーション能力は目的によっては非常に重要です。

特に指導者は選手に納得・了解してもらうことで戦術を浸透させたり選手のパフォーマンスを向上させたりすることができます。

しかし、選手のコミュニケーション能力に関しては、十分条件であって絶対条件ではないように感じます。

自分の中できちんと論理を組み立てて再現性高くトレーニングを実践できるようであれば、コミュニケーションを取れるかどうかはそこまで問題ではないとも考えています。

また、人には向き不向きもあるのでどうしてもコミュニケーションをとることに抵抗を感じる人もいるでしょう。

そういった人には自分との対話を大切にしてもらいたいです。

論理的に考えることとコミュニケーション能力は別物

以上のことから、論理的に考えることとコミュニケーション能力が高いことはあまり関連性がないのではないかと思っています。

ただ、論理的に考えることのメリットは多いので身につけて損はないとも考えています。

また、コミュニケーションが苦手な選手であってもコーチングができるに越したことはないです。

サッカーは集団競技なのでどうしても味方を動かす方が効率的かつ勝利に結びつく可能性の高いプレーを生むことができます。

個人競技ではまた違うと思うのですが、集団競技においてコーチングは身につけておきたいところです。

結論

論理的思考とコミュニケーション能力は関連性が高くないかもしれないが、サッカーのパフォーマンスを高めるためにはコーチングはできた方が良い

というのが私の結論です。

今回の記事では自身の考えを書き連ねた形に近いので、一つの考え方として捉えてもらえるとありがたいです。

ご精読ありがとうございました。

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