今シーズン、国際武道大学女子サッカー部はゲーム分析班を立ち上げました。
1シーズン通して継続的に活動したので、その振り返り記事を書いておこうと思います。
これから分析班を立ち上げたい、どのような活動をしているのか興味がある、という方向けです。
目次
振り返り
立ち上げ
国際武道大学女子サッカー部は関東大学女子サッカーリーグ1部に所属しています。
一昨年1部に昇格して昨年は1部残留を果たしたため、今シーズンも1部リーグを戦いました。
ただ、チームは以下の図のように少し複雑な構造をしています。
主に鴨川で練習をしている選手と主に大学で練習をしている選手に分かれているということです。
それらの選手の合同チーム的な形で関東大学サッカーリーグを戦っています。
図にも書きましたが、合同練習の回数が少ないことやミーティングがあまりできなかったことが昨シーズンの課題でした。
そのような問題を抱えていたこともあり、昨シーズンは最下位でリーグを終えました。
レギュレーションにより最下位チームも入れ替え戦にまわることができたため、入れ替え戦で勝利し、なんとか残留できた、というシーズンでした。
今シーズンに入り、4年生のゼミ生と話をした時に
「相手や自分たちの分析をすることで、共通認識をもって試合に挑みたい」
という要望があることがわかりました。
監督と話をして、分析班の立ち上げの許可を得られたので、監督・選手・私で立ち上げを進めていきました。
分析班メンバー
まずは分析班のメンバーを募りました。
4年生の私のゼミ生2人に加えて、2年生1名、男子選手1名がメンバーとして活動してくれることになりました。
ゼミ生2人は自チームの分析(Feedback)、他2人は相手チームの分析(Feedforward)という役割分担としました。
スケジュールは以下のような流れを基本としました。
ただ最終的には、監督と話し合い、木曜日にフィードバックMTG、スカウティングはスカウティングシートの共有にとどまりました。
分析班の人数の問題や、授業時間との関係で上述のような形が最大限という判断でした。
具体的な活動内容
使用したツール
自チームの分析にはHudlを使用しました。
監督が大学職員であったり、私が大学教員であることから、まとまってスタッフミーティングをする時間もなかなか取れませんでした。
そのため、Hudlのチャット機能をスタッフミーティングの代わりに使用しました。
分析班がフィードバックMTGで使用する可能性があるシーンにタグ付けを行い、それに対してチャットを使用してどの映像を使用するか選定していくという形です。
言葉選びなどは慎重に行う必要はありましたが、スタッフミーティングを開くことが難しい現状では、これがベストだったと思っています。
Hudlでは特定のシーンのみダウンロードすることができます。
分析班のメンバーがHudlからMTGで使用するシーンをダウンロードしてMTG用に編集しました。
編集ツール
編集ではFL-UXを使用しました。
FL-UXは編集も簡単で、サッカーのミーティングらしい図形が使用できるというメリットがあります。
初期は、編集ソフトは無料のものを使用していましたが、編集に時間がかかりすぎる割に完成度が高くないというものでした。
premiere proやFinal cut proなどの編集ソフトを利用することも考えましたが、編集スキルを落とし込むのにも時間がかかってしまうかも、ということでより簡単にできるFL-UXを使用することにしました。
予算がない場合はPowerPointを利用するなど工夫の仕方はあると思いますが、やはり編集を入れた方が効果は高そうです。
課題
今シーズンはミーティングも基本的には分析班の学生が担当しました。
そこで感じた課題は以下のようなものでした。
- ミーティング中の介入度合い
- 伝える力をどう磨くか
- ミーティング中の発表者と選手のコミュニケーション
以下説明していきます。
✔️ミーティング中の介入度合い
ミーティングを行うのは学生でした。
当然ながら、もう少しこう言ったほうが良いかも、というようなことはよくありました。
しかし、あまりに介入し過ぎてしまうと学生の意欲を削いでしまったり、成長を鈍らせてしまう可能性があると考えました。
そこで、基本的には介入せず、どうしても補足したりしなければいけない時のみ介入することにしました。
ミーティング終わりに毎回短時間フィードバックの時間を設けることはしました。
✔️伝える力をどう磨くか
学生によっては、なかなか人前で話す機会がなかったりします。
そのため、言葉遣いや言葉選び、声量や間の取り方など、どのように行えば言いたいことが正確に伝わるかがわからない、という学生も多いです。
一般的にはこうした方が良い、というものはあるのでそれを教えることはできるのですが、それをできるようになるには練習を重ねるしかありません。
また、それができたとしても、ミーティングは一回性の事象なので、応用的なコミュニケーションスキルが重要になってきます。
今シーズンに関しては、この伝える力をもっと伸ばしてあげたかったなと思いました。
✔️ミーティング中の発表者と選手のコミュニケーション
発表者も選手であり、聞き手も選手であるため、発問が難しかった、という振り返りが分析班から出ました。
コーチや監督がミーティングをする場合との大きな違いであると思いました。
発表者はミーティング映像の中に自身のミスシーンを入れることで、平等に分析していることをそれとなくアピールするなどの工夫をしていました。
それは学生が自分たちで考えたことでしたが、選手がミーティングをする場合は一つの策として良いかもしれないと思いました。
しかし、別の解決策も考える必要はあると考えています。
成果と学び
成果
成果として、まず勝ち点と順位が上がりました。
もちろん、分析をしたからダイレクトに勝点に繋がった、というわけではありません。
しかし、間接的に影響はあったのではないかと思います。
次に、分析班に所属する学生の抽象化能力が上がったと感じました。
学生がミーティングで使用するシーンをピックアップする際、初期は過剰に多くのシーンを選んでいました。
この問題の解決のために、一つ一つのシーンを抽象化していく練習をしました。
これにより、分類・取捨選択が可能になり、徐々に過剰なピックアップは無くなっていきました。
抽象化能力が上がったのではと考えています。
学び
個人的な学びとしては、
まずやり始めることが大事
ということです。
分析は、やらないよりもやった方が良いのは間違いないと思います。
しかし、始め方がわからない、どのようなツールを使えばいいかわからない、というようなクラブも多いのではないでしょうか。
うちのチームも、まずはやってみようということで手探りで始めました。
その結果、割と形にはなったかなと思います。
まとめ
以上、今シーズンの分析班立ち上げと運営に関する振り返りでした。
かなり簡単にまとめました。
もっと色々ありましたが、主要な部分は書けたと思います。
来シーズン、より良くなるよう頑張ります。